2020.01.06
事務所からのお知らせ熊本職員コラム週刊税務通信 No.3587 令和2年1月6日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。
実例から学ぶ税務の核心
~ひたむきな税理士たちの研鑽会~
<第38回>
特別編 新春・令和2年度税制改正大綱を読む(その1)
解説
大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾
昨年同様,今年も,与党税制改正大綱について税理士実務の目線から議論してみた。自分の関与先で対応が必要な会社の抽出・検討に役立てて欲しい。
第1 総論
濱田) 今年も税制改正大綱が出てきました( №3585 (令和元年12月16日号)分冊(以下「分冊」)49頁参照)。例年と比べると,小粒の改正という印象ですが,今年の改正について,皆さん,どういう感想をお持ちですか。
内藤) 所得税の改正が非常に多いという印象です。税理士試験受験生は大変でしょうね。
白井) 久々に,法人税関係で,大きな改正が行われたという気がしています。平成22年グループ法人税制以来ではないでしょうか。
岡野) 目立つのは租税回避行為スキームの防止規定でしょうね。今回も特に重点的に扱おうと思いますが。
村木) なんといっても,連結納税の改正が通ったということでしょうか。今年は経団連の要望が通っているな,という印象が強いです。
濱田) 先程,岡野先生が,租税回避スキーム関係の穴塞ぎが多いというお話をされました。具体的には,どのようなものがありましたか。
白井) 目につくのは,3つですね。
・ソフトバンクスキームへの対抗措置(分冊103頁)
・海外中古建物取得による簡便法減価償却費計上での損益通算(分冊71頁)
・金取引を発生させた課税売上割合の調整(分冊102頁)
内藤) 詳細は,個々の項目で扱うとして,何か共通するような思想等がありますか。
村木) このうち2つは,会計検査院の指摘事項の実現です。近年は,会計検査院が指摘して,改正が行われるというマッチポンプのような改正が多々あります。今年も同様だったと言えるのではないでしょうか。
岡野) それに対して,ソフトバンクスキームへの対抗措置は,ある意味拙速な改正とも言えるかもしれません。金額が大きすぎるので,流石に放置できなかったということでしょうけれど。
村木) ソフトバンクは,かつての事件の意趣返しをしたとも言えるかもしれませんね。ただ,業績がそれどころではないようですけど。
濱田) なお,連結納税の見直しに関しては,分量の関係で,次号掲載になります。また,実務目線で重要性がそれほどないものはカットしていますので,ご容赦ください。
(以下略)
(熊本本部スタッフ)