2020.10.05
事務所通信熊本令和2年4月の消費税法の改正において、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度の見直しが行われました。法改正の適用開始時期が令和2年10月1日からとなっており、今後多くの方が対象となる可能性がありますので法改正の内容について再度ご案内致します。
事業者が、国内において行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。
この場合の居住用賃貸建物とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産(※1)又は調整対象自己建設高額資産(※2)に該当するものをいいます。
※1高額特定資産とは、課税仕入れ等に係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。
※2調整対象自己建設高額資産とは、棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額(税抜)の累計額が 1,000 万円以上となったものをいいます。
「居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除の制限」の適用を受けた「居住用賃貸建物」 について、次のいずれかに該当する場合には、仕入控除税額を調整することとされました。
1.第三年度の課税期間(※1)の末日にその居住用賃貸建物を有しており、かつ、その居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間(※2)に課税賃貸用(※3)に供した場合
⇒ 次の算式で計算した消費税額を第三年度の課税期間の仕入控除税額に加算
2.その居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間に他の者に譲渡した場合
⇒ 次の算式で計算した消費税額を譲渡した日の属する課税期間の仕入控除税額に加算
※1第三年度の課税期間とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間をいいます。
※2調整期間とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日から第三年度の課税期間の末日までの間をいいます。
※3課税賃貸用とは、非課税とされる住宅の貸付け以外の貸付けの用をいいます。
※4対価の額は税抜き金額で、この対価の額について値引き等(対価の返還等)がある場合には、その金額を控除した残額で計算します。
※5課税譲渡等調整期間とは、居住用賃貸建物の仕入れ等の日からその居住用賃貸建物を他の者に譲渡した日までの間をいいます。
令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額について適用されます。
令和2年3月31日までに締結した契約に基づき令和2年10月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入等については、上記の制限は適用されません。
【熊本本部 坂田 佳太】