Information

さくら優和 Information

速報!さくらユウワ通信「相続税と贈与税の一体的課税制度、今後どうなる? 」

2022.11.07

事務所からのお知らせ熊本

近年、相続時精算課税や暦年贈与といった現行の相続・贈与に係る税制度の在り方が見直され、相続対策として行ってきた生前贈与等は近い将来行いづらくなると考えられています。少子高齢化社会が進む日本において資産が高齢世代に留まっている現状もあり、相続税・贈与税の本来の目的である「資産の再分配」を奨める為に一体的課税制度が考えられています。では、現在検討されている「相続税と贈与税の一体的課税制度」がどのようなものか確認していきましょう。

相続税と贈与税の意義

相続税と贈与税の意義は「資産の再分配」にあります。相続税と贈与税が税制として制定されていなければ、富裕層の資産が適切な税負担を伴う事なく世代を超え引き継がれていき、貧富格差の固定化が起こる事態となってしまいます。したがって、富を再分配し平準化させる事を目的として相続税と贈与税は定められています。

相続税と贈与税の現状

しかし、上記の目的を有した相続税・贈与税が上手く機能を果たせておらず、その在り方を見直されています。日本においては、少子高齢化に伴い、高齢世代に資産が偏在し、世代間移転も年々遅くなっている傾向にあります。また、保有資産が少なく相続時に相続税が発生しないと見込まれる層は、贈与税率が高く設定されている事もあり、積極的に生前贈与を検討しないなど、現行の税制度が抑制的に働いている面も見られます。対して、相続税が発生する高額資産を保有する層は長期的に基礎控除額内での分割贈与を行う事で、相続税の累進負担を回避し、多額の資産移転を可能としています。結果的に次世代への資産移転が遅れてしまい、資産の再分配も滞っているのです。

一体的課税の検討

上記の現状がある中で、「資産移転の時期の選択に中立的な税制」が必要であると、「相続税と贈与税の一体的課税制度」が本格的に検討されています。具体的な内容としては、資産の移転時期・回数・金額にかかわらず、相続・贈与に係る税負担を一定にする、つまり、相続時に全ての財産を受け取る場合と生前贈与で複数回に分けて受け取る場合との税負担を一定にするという事です。

今後どうなる?

令和4年度税制改正大綱において、今までお話をさせて頂いた内容について触れられてはいるものの、暦年贈与を廃止する等の具体的な税制改正については言及されていませんでした。ですので、突然税制度が改正になる可能性は低いと思われます。しかし、相続税の持ち戻し期間については、現状の「贈与者が亡くなる迄の3年間に贈与した財産を相続財産として持ち戻し、相続税を計算する」という3年間の期間が短い事に指摘を受けています。ですので、生前贈与で加算される期間については今後5年10年と変更される可能性は十分にあり得るかと思われます。

いかがでしたでしょうか。相続税・贈与税について、一体的課税としての方向性を検討している事が令和4年度税制改正大綱に触れられていた事で、今後の相続対策はより計画的に行う必要性が出てきたかと思われます。ご質問等ございましたら各担当者までお気軽にご相談ください。

【熊本本部 西橋】

PDFはこちらをクリック