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実例から学ぶ税務の核心〈第47回〉グループ通算制度Q&Aを読んで

2020.09.14

事務所からのお知らせ熊本職員コラム

週刊税務通信 No.3621 令和2年9月14日号に、熊本本部所長・岡野の記事が掲載されました。
実例から学ぶ税務の核心
~ひたむきな税理士たちの研鑽会~
<第47回>
グループ通算制度Q&Aを読んで
大阪勉強会グループ
濱田康宏
岡野訓
内藤忠大
白井一馬
村木慎吾
令和4年4月のグループ通算制度導入を前に,各社では導入の是非を検討しつつある段階だが,この度,国税庁からグループ通算制度に関するQ&Aが公表された。本稿では,複雑な計算方法など,少し噛み砕く形で確認してみたい。
村木)  令和2年度税制改正により,令和4年4月1日以後開始事業年度分からは,連結納税制度がグループ通算制度に改組されます。この度,国税庁より,「グループ通算制度に関するQ&A」が公表されました。今回は,この内容について,議論していきましょう。
岡野)  このQ&Aについては,8月21日に,政省令を反映した改訂版が公表されました。今回は,入稿時期の関係で,Q&Aで追加された政省令関連の部分には触れられないことになりますが,ご容赦ください。
1 対象法人
濱田)  まずは,問1から問5にあるグループ通算制度の対象となる法人について確認していきましょう。
白井)  条文上での呼び名ではないですが,通算除外法人という法人がキーワードです。これは,通算子法人になれない法人です。ただ,通算除外法人とはいっても,通算親法人にはなれる可能性がありますので,注意が必要です。
内藤)  この通算除外法人は,次の法人です。
(1) 法人税法第64条の10第1項の規定により通算制度の取りやめの承認を受けた法人でその承認を受けた日の属する事業年度終了の日の翌日から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していない法人
(2)  法人税法第127条 第2項の規定により青色申告の承認の取消しの通知を受けた法人でその通知を受けた日から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していない法人
(3)  法人税法第128条 の規定により青色申告の取りやめの届出書を提出した法人でその届出書を提出した日から同日以後1年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していない法人
(4) 投資信託及び投資法人に関する法律第2条第12項に規定する投資法人
(5) 資産の流動化に関する法律第2条第3項に規定する特定目的会社
(6) 普通法人以外の法人
(7) 破産手続開始の決定を受けた法人
(8) 通算親法人との間に通算完全支配関係を有しなくなったことにより通算承認の効力を失った通算子法人であった法人(通算親法人が通算承認の効力を失ったこと又はその法人若しくはその法人の発行済株式若しくは出資の全部若しくは一部を有する法人の破産手続開始の決定による解散に基因してその効力を失った法人を除きます。)で,再びその通算親法人との間にその通算親法人による完全支配関係を有することとなったもののうち,その効力を失った日から同日以後5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していない法人
(9) 法人課税信託(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第3項に規定する投資信託又は資産の流動化に関する法律第2条第13項に規定する特定目的信託に限ります。)に係る 法人税法第4条の3 に規定する受託法人
連結納税制度と比べても,それほど違和感のない定義ですね。
岡野)  (1)から(3)と(8)は,いわばペナルティで通算子法人になれない法人です。
(4)(5)は,受取配当益金不算入計算で益金算入になるなど,通常の法人税計算と異なる計算規定を持っている法人です。
(6)も,通常の法人税計算と異なる計算規定が適用され,また課税所得の範囲が異なるため,グルーピングができない法人です。
(7)の破産法人も,適用される計算規定が異なり,同様です。
(9)は,法人課税信託における受託法人の規定で,やはり,グルーピングができない法人です。
村木)  まとめると,法人による完全支配関係において,この通算除外法人と外国法人が資本関係に絡んでると,それ以下の階層の法人は,グループ通算制度に入れないという整理で良いと思いますね。Q&Aの上記図だと,S7社とS10社です。
ポイント  通算除外法人は,通算子法人になれない法人。ペナルティの意味や,計算規定上,同じグループとして扱えない法人である。
(以下略)

(熊本本部スタッフ)