2026.07.06
事務所通信熊本~現行の所得税法の解釈を最高裁が確定~
課税される取引・されない取引の判定
今回の判決により、税務上の扱いが明確に区分されました。最大のポイントは「保有状態が実質的に変わったか・価値が固定化されたか」にあります。
❌ 課税対象になるケース(円に戻していなくてもNG)
・外貨から別の外貨への交換(例:米ドルをユーロに交換した)
・外貨を使って、同一通貨建ての外国株や外貨建て有価証券を取得した
※「別の外貨や資産に換えた瞬間」に円換算での利益が実現したとみなされます。
⭕ 課税対象にならないケース
・同じ通貨のまま移動・預け替えを行っているだけ(例:A銀行の米ドル口座から、B銀行の米ドル口座へ元本を移した)
※保有状態が実質的に変わらない場合は、為替差益の課税対象にはなりません。
【外貨建て取引の税金と確定申告のQ&A】
Q1. 日本円に戻していなければ、利益は確定していない(未実現)のでは?
確定したとみなされます。我が国の所得税法は「日本円」を基準に所得を計算することを前提としているため、異種通貨や資産に切り替えた時点で、それまでの外貨の経済的価値が固定化され、利益(為替差益)が実現したと解釈されます。
Q2. 為替差益が発生した場合、税率は何%になりますか?
原則として「雑所得(その他)」となり、最大約55%の総合課税です。他の所得(給与や事業所得など)と合算して所得税(5〜45%)+住民税(10%)が課されます。FX(外国為替証拠金取引)のような「申告分離課税(一律20.315%)」とは異なるため、利益が大きくなると税負担が非常に重くなる点に注意が必要です。
Q3. 損益通算(他の投資の赤字と相殺)はできますか?
A. 原則として不可能です。雑所得(その他)に分類されるため、株式や投資信託の「譲渡損失」と相殺することはできません。「為替の利益には一方的に課税され、別の投資の損失は切り捨てられる」という事態が起こり得るため、運用実務での買い替えは慎重に行う必要があります。
【参考】
・日経新聞「外国通貨間の交換、円換算で為替差益なら課税適法 最高裁判決」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD092D50Z00C26A6000000/?msockid=0afa114acc86600725140418cd4f6160
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