2022.11.25
事務所通信熊本政府は遅々として進まないマイナカード(=マイナンバーカード、個人番号カード)の普及率向上のための切り札として、現行の健康保険証を2024年秋をめどに廃止し、マイナカードと一体にした「マイナ保険証」への切り替えを原則義務化するとの方針を今年10月に打ち出しました。しかし、国民や医療業界からの異論が噴出。私たち国民や、保険診療をされている病院などへの影響はどのようなものがあるのでしょうか。
デジタル化を推進している政府は、2022年度末までに全国民がマイナカードを取得するという目標を掲げていました。しかし、コンビニでの住民票取得くらいしかマイナカードの使い道がなく、紛失や情報漏洩などの不安もあって取得は進んでいませんでした。マイナポイントなどの取得促進もあり、2022年11月4日の発表によると累計の申請件数は7277万枚で、普及率は57.8%となっています。さらなる普及を目指して健康保険証・運転免許証への一体化が進められています。
健康保険証との一体化について、11月7日までの1か月弱の間に約5,000件の意見や質問がデジタル庁へ寄せられました。詳しくはデジタル庁のホームページにて閲覧可能ですが、その一部を見てみましょう。
【 質問 】
紙の健康保険証を2024年秋めどに廃止すると聞きました。マイナカードの取得は任意だと思っていましたが、必ず作らなければいけないのでしょうか。
【 回答 】
マイナカードは、国民の申請に基づき交付されるものであり、この点を変更するものではありません。また、今までと変わりなく保険診療を受けることができます。
【 質問 】
マイナカードは、当初「他人に見せないようにし、大切に保管しましょう」と聞いた気がします。持ち歩いてもいいものなのですか。
【 回答 】
パスワードを知らなければ何も使えませんし、ICチップの中を無理やり読み込もうとすればチップが自動的に壊れる仕組みとなっておりますので、悪用することもできません。ご安心ください。万が一落としたり無くしたりした場合は、24時間365日フリーダイヤル( 0120-95-0178 )で利用を一時停止してください。
患者様の同意があれば記録された病歴や投薬歴も確認できるようになり、医療の質の向上が期待されています。紙の健康保険証廃止に先立ち、政府は2023年4月から原則全ての医療機関や薬局で患者様がマイナ保険証を利用できるようリーダーなどの設備導入を原則義務化しました(設備導入については費用補助が設けられています。https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/post-21.html参照)。しかし、ある保険医協会の担当者は「2023年3月末までに導入しろと言われても、(全国で整備が集中し、システム機材の納入が遅れているため)多くの病院にとっては物理的に不可能だ」と主張しています。
マイナポイント第2弾については、申請期限が2022年12月末まで延長されました。取得を考えている方は、年内にマイナンバーカードの申請をして、2023年2月末までにポイント申請をすると最大2万ポイントを受け取ることができます。紆余曲折のマイナカードですが、生活に直結する健康保険証・運転免許証との統合について今後とも注視していく必要がありそうですね。
ご質問等ございましたら各担当者までお気軽にご相談ください。
【熊本本部 宮本】